2008年3月14日金曜日

沈黙の春

…という本がありましたな。もともとは英語の本で、内容の趣旨からすると原題の Silent Spring は「鳥の声が聞こえない春」、要は「人間が化学物質をまき散らすので自然が破壊されるよ」ということですな。

とか言いつつ、ちょっと調べてみたら、何でも最初の日本語訳は「生と死の妙薬」という題だったとか。へえぇ。何だかわかりにくい題名だとは思うが、何しろ60年代だからねぇ。

それが直訳調の「沈黙の春」になったわけか。お決まりのパターンですな。すると次は「サイレント・スプリング」と来ますわな。それから、「クワイエット・フォレスト」とか何とか、勘違いカタカナになっていきますわな。あぁ。なんだか、寂しいねぇ。

あれれ、こんな話をするつもりじゃなかった。目下沈黙中と言いたかったのである。文字通り、声を出さずに沈黙中。これ、結構難しいよ。玄関に郵便屋さんなんか来ちゃったら、反射的に「ハイハイ」とか言いそうになるからね。

先月のこと、講釈師業が休みになったので、大喜びで気になっていたことを片づけ始めた。まずは作りかけていたジョーク曲をいくつか仕上げる。それからアダム君が作った曲に生ドラムをかぶせて遊ぶ(2回も安スタジオ借りて録音したど)。

続いて気になるのは読まずに積んであった言語学関係の雑誌なので、これを読む。するとこの方面の「読まずにおいてあった本」が気になり出して読み始める。面白いのでついつい時間が経ってしまう。っつーか、アッという間に1週間近く経つ。
しかし、そうもゆっくりしてられない。喉の不調は相変わらずで、まともな声が出ない。これじゃ講釈師業が再開できない。別に再開したいとは思ってないんだけど、そうすると食うに困るし飲むに困る。こりゃ困る。

というわけで、この際専門家に任せ、喉に存在するわけのわからんモノを切り取ってもらうことにした。これを普通の日本語で表現すると、「喉の手術のために入院した」とかいう具合になる。何という大げさな。ということで、あまり騒がず、黙〜って済ませようと考えた。

ところがねぇ。こういう時に限って仕事が来るのね。やっぱ、マーフィーの法則ってスゴイわ。というわけで、すさまじい医学用語が飛び出すビデオの翻訳をバタバタと済ませ(苦労したよ)、入院前日の晩に原稿を送る。やれやれ。

病棟とは不思議な場所である。職業等々の社会的な意味を脱ぎ去り、身体としてコロコロと横たわっている。回復しつつある人も死につつある人もいる。どっちでも良いのだ。何だか気楽だな。

というわけで病人の仲間入りをし、全身麻酔という強力なヤクでぶっ飛んだり、点滴ばかりなのでマトモな飲食を夢見たりしながら3日半を過ごし、退院となる。(←写真:病院の寝台にて妄想を描く)

しかし、そう簡単にニコニコ社会復帰というわけにはいかない。声帯の保護のため1週間は発声禁止とのことである。

オマケに手術の際に口に突っ込んで頂いたパイプのおかげで(これがないとできないんだから仕方ないんだけどね)舌の左半分にかなりの損傷を受けた。まぁ、舌の裏表に一つずつ巨大な口内炎があって全体が腫れ上がっていると思って頂ければよろしい(よかないか)。これじゃ、声が出せても喋れんわいな。

というわけで、目下、冷ました雑炊をすすったりしつつ、黙っているのである。これを沈黙の春と言わずして何と言うか。

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