2008年7月17日木曜日

近鉄電車でボンヤリと

林檎社の iPhone G3 は発売以後3日で100万台を売ったそうである。よくまぁそんなにたくさん作っておけたねぇ。もちろん、この度はケータイ大好き日本人マーケットでも売り始めたのだから、気合いが入っていたのかも知れない。

こういう新しいオモチャが出現すると気になる気になる。っつーか、誰でも新しいオモチャは好きじゃわな。某英会話企業に勤務していた時、短期間ながら携帯電話を持たされた悪い経験があるのも一因で「あれはイヤですな」という結論が心身の隅々まで行き渡っているけれど、iPhone はなかなか楽しいオモチャだと思う。うふふふ。

しかし、オモチャ本体は良いとしても、「携帯電話」は料金がよくわからない。聞くところでは、日本の携帯市場における料金の情報提供方法は(いわゆる普通の先進諸国平均で言うと)違法レベルだそうである。すなわち、「月に○○円です」という表示があっても、結局のところその○○円を払うことにはならないという詐欺的表示がまかり通っており、「じゃぁ結局のところいくらなのか」と尋ねると、「料金体系の詳細」というカフカもビックリの不思議不条理世界に付き合わねばならない。キチンと正直な商売をしている感じがしないわけですな。

事実、この度の iPhone G3 にせよ、ソフトバンクの店員が「iPhone は△△プランでないとダメです」という虚偽の主張をして、高い料金設定の△△プランを売りつけていたケースが次々に明らかになっている。こうなりゃ完全に詐欺ですがな。まぁ、かつて街角でモデムを配布しながらブロードバンドの押し売りをしていた会社なんだから仕方ないと言わねばならないのだろうか。こんな場所じゃ、楽しいオモチャも大変だな。

ここでフッと思い出す。米国でiPhoneが発売された当初、「こりゃ楽しい。このままで電話機能がないやつが欲しい」という声があちこちで上がった。要するに、このオモチャは楽しい、だから携帯会社に悩まされたくないというのである。音楽も聞けるし動画も見られるiPodである。無線でインターネットに接続してサイトを見ることができる。メールの送受信もできる。iTunes音楽店に行って音楽を買うこともできる。もうこれで良い、というわけだ。

そうしたら、まったくその通りの iPod touch という製品が静かに出現した。電話機能と写真撮影機能がない点を除くと、要するに同じオモチャである。こうなると、どうも、こちらの方が林檎社の本命ではないかという気がする。誰も携帯会社に振り回されたくないのだから。

携帯市場そのものが悪いとは思えないものの、これは、英会話市場と同様、仮にキチンと商売をしようとする会社があっても、ガラの悪い大会社に押しのけられるという世界である(市場が飽和すると、あとはお客の奪い合いになるわけだから、そうなってきますわなぁ)。したがって、どんな会社でも、こんな世界と長期的に付き合うような企業戦略を立てたいとは思わないであろう。

およそ米国でもカナダでも携帯会社は嫌われている。そりゃ、そうだろう。「課金すべきではないサービス」と感じられているものを売っているのだから。誰かと話したければ、インターネットを介していくらでも話せるのに、どうしてわざわざ電話代を払うか。

そのインターネット接続も「課金すべきではない」と感じられている。その辺を歩き回ればいくらでも無線接続ができるもん。というわけで、インターネットサービスのプロバイダ各社も、これからは嫌われるしかない。気の毒な話だが、仕方ない。

なお、iPhone その他のオモチャが対応している GPS というやつも、嫌われるしかない。これは全然気の毒だとは思わない。何しろ GPS は米軍の持ち物である。「オレのだけど、無料で使わせてやるよ」と太っ腹を演じつつ、いつどこに誰がいるという細かい情報は一手に握っている。勝手に物事を変えたりやめたりして皆を振り回すこともできる。要するに、アメリカという国のやりたいことを凝縮したようなシロモノである。普通のアメリカ人も含め、こういうのを「良い」「便利だ」などと無邪気に喜ぶだけの人はいない。

しかし、この調子でやっていくと、楽しいオモチャであるはずのiPhoneにしてもその生産工程においては某アジアの国でひどい労働条件を生み出し…とかいう話になりそうだな。あぁそろそろ駅につく。では失礼。

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自己紹介

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日本生まれ、日本育ち…だが、オーストラリアのクイーンズランド大学で修行してMA(言語学・英文法専攻;ハドルストンに師事)。 日本に戻ってから、英会話産業の社員になったり、翻訳・通訳をやったり、大学の英語講師をしたりしつつ、「世の中から降りた楽しい人生」を実践中、のはずです。