2012年8月28日火曜日

ガラゴロ理論


日々のニュースでは気分が向上しないことが多い。そういうときにはNASAの火星探査車のニュースを追うのが吉である。あの「好奇心号」は猫を殺したりせずに着々と仕事をしているではないか。
ガラゴロ岩の世界に人間が降り立つのも時間の問題か。
(映画「トータル・リコール」(1990年の方ね)冒頭場面より)

安っぽい映画では気分が向上しないことが多い。そういうときにはドキュメンタリーである。特に、面白い人の話を聞くのは面白い。

スティーブ・ジョブズの「失われていたインタビュー」なるものはいくつもあるが、その一つがなんと映画になった。ただのインタビューを映画館に見に行く人がいるのだ。ううむ。人間いっぺん死んでみるものであるのかもしれんな。そういう問題じゃないか。

こういうのはすぐにYouTubeで見られるようになる。便利な時代になったもんだ。(あらら、もう削除されたみたい…しゃぁない、5分ぐらいテレビ番組で紹介されたやつをご案内しましょか…)

時は1995年、スティーブ・ジョブズはネクストという会社で作ったものがイマイチ売れず、マイクロソフトの隆盛とアップル社の凋落をじっと見ていた頃である(その翌年、彼はアップル社にネクスト製品(これがOSXとなる)を持って戻る)。かぁなりの変人ジョブズであるが、フツーの人たちが何を聞きたがっているかも理解していることがよくわかるインタビューである。

面白い話はいろいろ出てくる。子供の頃、近所のオッサンに見せてもらった一種の実験の話が印象に残る。荒っぽい石をたくさん容器に入れてガラゴロ廻しっぱなしにしておき、翌朝だかに見るとすっかりツルツルのキレイな石になっていた。だから自分も最高の人材を雇ってガラゴロぶつけ合わせるのだ。衝突もある。摩擦も起きる。ところがその結果、すごく良いものが生まれる。…というのである。

なるほど、あれこれ集めてガラゴロか。確かに近所の魚屋で仕入れてきたイカと豆腐屋で買ってきた厚揚げと八百屋で買ってきた茄子やら葉っぱやらをバターでガラゴロ炒めて味噌なんかで仕上げるとなかなか美味である。あぁそうか。よくわかる話だ。ガラゴロやれば良いのだ。

我が限られた観察においてもガラゴロは強い。外国語を習得するやつは、とにかく辞書でも読み物でも何となく見つけてきてはガラゴロしている。「どんな教材が良いんですかぁ」とか「○○が苦手なんですけどぉ」とか言わない。「えっとぉ、ちゃんとやるためにはぁ、これをきちんと用意してぇ、…」というやり方にも一理あるかもしれないが、やはり材料を揃えてガラゴロやるのが一番。ガラゴロやってこそ材料の善し悪しが見えてくる。

ちゅうことでガラゴロですよ。最近は暑いもので、ついつい同じような葡萄酒ばかり飲んでましたけど、これではやっぱしガラゴロ度が足りませんな。やっぱりグッと違う葡萄酒とか、ビールとか、いってみないとあきまへんなやっぱり。ふむふむ。ではちょと買い物いってきます…

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自己紹介

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日本生まれ、日本育ち…だが、オーストラリアのクイーンズランド大学で修行してMA(言語学・英文法専攻;ハドルストンに師事)。 日本に戻ってから、英会話産業の社員になったり、翻訳・通訳をやったり、大学の英語講師をしたりしつつ、「世の中から降りた楽しい人生」を実践中、のはずです。