2010年3月31日水曜日

3月も終わりなので



なお、この能天気な歌の元ネタはこちら:

2010年3月29日月曜日

キンドル、使えます

キンドル(Kindle)は、電子書籍を読むだけの装置である。使ったことがなければ、そんなバカなもの…と思うかも知れない。しかし、キンドル2になって「これは使える」と聞いていたので気にはなっていた。

んで、そのキンドル2が日本で入手可能になった途端に飛びついた。あぁ何とも恐ろしいことに、もうこれがないとダメです。電子インクなので、表示画面が静止している間は電気を食わない。第一、目が疲れにくい。

今のところテキストとして扱える文字は西洋語ばかりであるが、PDFにも対応しているので日本語の表示も可能である。各種お目にかけましょう。(適宜画像クリックで拡大)

待機画面として作家の肖像画やこんな図版などがランダムに表示される。

雑誌を「購読」すると、毎週勝手に新しい号が入ってくれる。めちゃ便利である。
調べたい単語があればカーソルをその単語のところに持っていく。画面下部に辞書の説明が表示される。
米語版の Oxford Dictionary of English であるのが気に入らないが…

ドイツ語もこの通り。ゲーテもビックリ。

フランス語もこの通り。

ギリシャ語も表示可能。

PDFにすれば日本語も表示できる。こういうすてきなサービスのおかげである。



「これこれの本の何ページのどこそこにこれが書いてある」という報告をしないといけない仕事読書なら別だが、単に雑誌や本を読むだけなら圧倒的に便利である。その都度大きな本を運ぶ必要もないし、第一、目が楽である。キンドル、使えます。

2010年3月19日金曜日

公然の密約

何とも日本である。お互いの気持ちを傷つけないため、そして角を立てないための、奥ゆかしく優しい心遣い。良いじゃないですか。

こんな文楽を見たことがある。職務上捕まえるべきヤツがいるのだが、人情としては逃がしてやりたい。ところがホイホイと追いつめてしまう。こりゃ困った。というわけで大声で独り言を言うのだ。「あの野郎、すぐ近くにいるはずなんだが。この道をずっと行って、三つ目の松を左に曲がれば逃げ道はある。しかし、まさかそんな道を知ってるはずがない。あぁ逃げ道は三つ目の松を左なんだが、まさかヤツは知ってるはずがない。やれやれ一休みするか」…この通りの台詞ではないが、まぁこうして逃がしてやるのだ。子供心にも「泣けるなぁ」と思ったものである。

太宰治もそんな筋書きをどこかに記していたと思う。もう先の長くない父親が「絶対に宝がある」と主張して非現実的な宝探しに熱中する。息子はそれを妄想と知りつつも「きっとありますよ、がんばりましょう」と宝探しに付き合う。やがて宝は見つからぬまま父親は臨終の床につく。最後に父親は「バカなことにつきあわせたなぁ。真面目にやってくれるもんだから、嘘だと言えなかったよ」と言う。実は息子の方はそれをも察していた。お互いの優しさを感謝し合う一瞬。…だったかな。まぁその手の話だ。どっちもヒマ人と言えばそれまでだが、奥ゆかしいじゃないですか。

いや、そこまで行かなくても、この種のことは日常我々が目にする。「そんなことは断じて許さん」と怒鳴る父親。まさにその眼前に「そんなこと」が進行しているのを許しつつ、ただ「自分としてはそれでOKって言える立場にないんで、そこんとこわかってください」と表明しているのである。カワイイじゃないですか。

もちろん個人の好みとしてその手の物の言い方に付き合えるかどうかは別である。でも、そういうのがあったって、良いじゃないですか。

米国に爆弾を落としまくられ、そこら中の路上に黒焦げ死体の山を目にし、全国民的に深い心の傷を負った日本である。そこに米国の軍艦なり何なりがやってくる。「えぇと、ウチは何々の持ち込みは禁止しております」という建前を言う。その際、相手の目を見てマジメに言ってるはずはないのだ。「ヤクザお断り」の看板を掲げた店に、その店ぐらいどうにでもできるヤクザがゆるりと入るようなものである。もちろん、周囲はそれを察している。

この文章、ここに至るまで特に何にもハッキリ言っていない。ところが、これをお読みになってるあなたには、これが何の話なのか、よぉ〜くおわかりになっているのだ。っつーか、日本語的には「思いっきり言ってるじゃないか」ということになる。

「みなまで言うな。いや、何にも言うな。わかってるから」「それを言うのは野暮」…これぞ日本語の世界である。

あぁ、もう多くの言葉を使いすぎた。最後に当時のマンガ(「仮面ライダー」)をチョロっとお目にかける(クリックで拡大):

自己紹介

自分の写真
日本生まれ、日本育ち…だが、オーストラリアのクイーンズランド大学で修行してMA(言語学・英文法専攻;ハドルストンに師事)。 日本に戻ってから、英会話産業の社員になったり、翻訳・通訳をやったり、大学の英語講師をしたりしつつ、「世の中から降りた楽しい人生」を実践中、のはずです。