2010年9月14日火曜日

日本はこういう国のはず…なのか?

世界は広い。日本大好きという人もいるし、大嫌いという人もいる。日本人ならみんな腕時計型テレビ電話を装着しているはずだと思っている人もいるし、日本人ならアニメの主人公みたいなコスチュームを着つつ刀を持っていると漠然と思っている人もいる。世の中、広いのだ。

そんな「日本人なら…である」という、いわゆるステレオタイプというやつの中には、「日本人は自分で考えて判断できない」「グループの長に許可を得ないと行動できない」というネタがある。特に英語圏の、特に米国人がこれを喜んでネタにする。

まぁ、よくあるパターンですわな。ジョークなんかでも、「無人島に何人かが残されました。ドイツ人はこうしました。イタリア人はこうしました…」と続けて小さな笑いを誘い、「そして日本人は東京本社に指示を仰ぎました」というオチで大笑いが来るという定型がある。

日本に来た外国人のビックリ話も同様である。いろいろあるが、例えば、公園で「ダブルアイスクリーム」を売っている。みんな「イチゴとバニラ」とか「チョコとバナナ」とか好きな組み合わせを買うことができる。そこで「僕はバニラが好きだから、バニラ2つでお願いします」と言ったらバイトの店員は目を白黒させて対応できなかった…なんてのも定型化した「実話」系の笑い話である。

ひょっとしたらこれを頼んだヤツの日本語が下手すぎるので店員は目を白黒させたのかもしれないのだが、そんなことはお構いなしにこの種のネタは定着していく。何しろあちらは「一定の型から出られない日本人」「自分で考えて判断できない日本人」が出てくるのを待っているのだから、ちょっとでも出たと思えば飛びつくのだ。

したがって、この度の小さなニュースも、きっと英語の人たちは喜んで「やっぱり日本だ」とはしゃぐだろうと予測される。そこで今のうちにこうしてメモっておくのである。

すなわち、あのアップル社のスティーブ・ジョブズ氏が自家用機で日本に観光にやってきた。んで、お土産に手裏剣を買ったのである(そうそう、我々だってニンジャ大好きのガイジンが出てくるのを待っている)。

ところが出国の段になって手荷物検査で引っかかった。具体的にどういう状況だったか知らないが、ジョブズ氏としては「自家用機に手裏剣を持ち込むのは危険ですからおやめください」と言われたわけである。

ジョブズ氏は決して豊かで高貴な生まれの人ではない。孤独も失望も挫折も貧乏も本気で経験しつつ、また病気で死にかけつつ、ひたすら自分のセンスと自分の判断に従うことでやってきた人である。当然のことながら、「君は判断できんのか、自分の飛行機に手裏剣を持ち込んでテロ行為に及ぶはずがなかろう」と腹を立てた、らしい。

確かにこの人らしい、よくわかる話である。相手が自社の社員であれば、即座にその場でクビであろう。

そしてまた、ネタとして、「確かに日本らしい、よくわかる話だ」と受け取られるであろうことも確実なのである。

今し方チョロッと調べたら、昨日の段階でこの話が英語で紹介されている(担当官はジョブズに忠実だったのさ」というダジャレまでついている;jobs はもちろん「仕事」)。ひょっとしたらもっと前から流れているかもしれない。さぁて、いつも聞いているテクノロジー系のポッド放送で確認してみるか…

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自己紹介

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日本生まれ、日本育ち…だが、オーストラリアのクイーンズランド大学で修行してMA(言語学・英文法専攻;ハドルストンに師事)。 日本に戻ってから、英会話産業の社員になったり、翻訳・通訳をやったり、大学の英語講師をしたりしつつ、「世の中から降りた楽しい人生」を実践中、のはずです。